第10章 NEWS的クライシス。
「え?! 許してくれるって…こと?」
仲直り出来そうな雰囲気に
思わず口元が緩む。
「ハハッ! 何だそれ。
笑えるんだけどw
許すとか、許さないとか
そういう次元じゃないっていうか。
だから…別にお前が悪いわけでもないし。
ただ、考え方が違うってだけだろ。
だからもう、別にいいっていうか。
そのことは話したくないっていうか…。
そういう話ならごめん。切っていい?」
―――さっきまで口元が緩んでた自分を
全力で説教してやりたい。。
「まっすー、ちょっと待って!」
「……なに?」
「気になってたコト、聞いていい…?」
「…うん。」
「ネバランのときのまっすーの
モノクロピンクの衣装ってさ…。」
「バッ、バカお前!
何言うつもりだよ!!」
制止しながら
電話を奪おうとする小山さんをいなし
オレは続けた。
「あの衣装さ、
最後のツアーでサクラガール歌ってるときの
錦戸くんの衣装に似てる…よね?」
「……だったら、なに?」
「いやいや!
『だったら、なに?』
ジャナクナイ…?
そうなってくると、
まっすーにとって錦戸くんって…
過去の人じゃなくない…?
進行形でしょ?」
はぁ…。と1つ大きな溜息を漏らして
まっすーが口を開く。
「衣装に対する答えはイエス。
昔も今も尊敬してるし、
それはこれから先も変わらない。
でも…、それ以上のコトは答えない。」
「なんだよ…そんな気持ちで
オレに言い寄ってきたわけ?」
「……聞いてた? オレの話。」
「…。」
「オレにはオレの過去があるし、
お前にもお前の過去がある。
相手の過去まで欲しがるような
ダセェことすんなよ…。
オレの過去はオレのもんだし、
お前の過去もお前のもんだろ。
それを……何?
相手の心の中に
土足で踏み込んでくるような真似はすんな。
お前のコト、嫌いになりたくはないんだ。
頼むよ…。」
まっすーの言葉に
オレは言葉を失って、
電話を持っていた手を
だらんと下ろしていて…
その下ろされた手から
小山さんが携帯を抜き取って話している。
小山「まっすー、ごめん!
オレがついてたのに…。」
増田「いや、大丈夫…。
小山、悪ぃけど…手越、頼むな。。」
呆然としていたオレを
不通音が虚しく包んでいた――…。