第17章 灰色の思い出
岩「あ゛?誰が馬鹿力だってクソ川」
男「Σい゛っ!?わかった離せばいいんだろ!?」
ギリギリと腕に力を籠めれば男は慌てて結月から手を放した
それを見てハジメもパッと手を放す
男は舌打ちをして去って行った
及「Σ結月ちゃん?!」
徹はガクンッと膝から崩れ落ちる結月を抱きとめた
胸元を抑えて苦しそうに顔を歪めながらうわごとのように呟いた
『おとうさん...おかあさん...おきて...』
花「?結月ちゃん?」
松「どうした花巻」
花「何か言ってるんだよ」
『わたし...ひとり...いやだ、イヤァァァァー』
岩「Σ!?落ち着け結月!」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
『カハァッ、ウッ』
及「Σ結月ちゃん息!息ちゃんとして!?」
花「ちょっと待てこれ過呼吸じゃねえか!?」
及「Σ過呼吸?!どうしたらいいのまっつん!?」
松「Σはあ!?俺が知るわけねえだろ!」
岩「馬鹿か落ち着け!
結月大丈夫だ口塞いでゆっくり息しろ」
口を塞ぐ?
朦朧としながら手を口元に持って来た
ふと手首にはめたブレスレットが目に入った
岩「結月?」
苦しそうな息遣いの中急に動きが止まった
不思議に思いハジメは結月の顔を覗き込んだ
すると涙にぬれた瞳と目があった
『てつろう?』
岩「は?」
『わたしをひとりにしないで』
徹から離れハジメにギュッと抱き付き胸に顔を埋めた
トクトクトクッ 心臓の音を聞いて少しずつ落ち着く呼吸
ドッドッドッドッド その逆に速くなる鼓動
鉄朗ってこんな事で心臓速くなるか?
あれっ?そういやもう少し大きかった様な...
呼吸が落ち着き少し冷静になった結月はゆっくり顔をあげると
顔を赤くして固まっているハジメだった
及「Σちょっと落ち着いたなら速く離れてよ!」
徹の声に辺りを見回すと青城3年の4人がいる
それからどうにか目的を果たし渋る4人を説得して帰って貰った
ユニフォームを届けて今日は体調不良だと言って合宿所で独りで過ごした
ああ...誕生日の出来事
思い出し出したく無かったのに......
楽しい思い出だけでなく
両親を殺された事まで鮮明に思い出した
鉄朗...早く会いたい
私を独りにしないで......