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嫌と言っても…

第1章 好きなあの子に


ある日の帰りに俺は、誰かに手を掴まれた。
振り向くと一人の少女がいた。
その子は、椚ヶ丘中学校の制服を着ていたので俺と同じ学校って言うのが分かった。

業「なに?」

由莉「あの、ハンカチ落としてましたよ。」

業「え。あ、ありがとう。」

その子は、笑った。
笑うと綺麗な顔立ちをしていて可愛かった。

由莉「同じ中学ですよね!私は、2年の川水由莉です!」

業「マジか。同じ年。俺は、赤羽業。カルマって呼んでよ。」

由莉「じゃ、カルマくんだね!」

この時から心臓が高まりつつあった。
だって綺麗に笑うし。
俺は、この子のクラスを知りたいと思った。

業「クラスは?」

由莉「A組!カルマくんは?」

業「D組。」

由莉「え!?でも、カルマくん。5位には入ってたよね?」

業「うん。」

由莉「なんで!?」

業「俺さ、不良な訳!」

由莉「そんなふうに見えないんだけど。」

そりゃそうだろ。
喧嘩を望む不良なんだしね。
ていうか不良ならナンパくらいしてるけどね。

由莉「カルマくん?」

業「ん?」

由莉「あ、あのさ、言いにくいんだけど、カルマくんって素行不良って言いたいの?」

業「それ!」

なんかホッとしてる。
可愛い。
なんかついつい弄りたくなる。

業「由莉。その大量の荷物は?」

由莉「あ、これ?担任の先生にね、ゴミをゴミ捨て場に運ぶのをお願いされちゃって。」

業「マジか。じゃあ、手伝う。」

由莉「え!?」

可愛いからじゃないんだよ!?
好きになったからでもないし!
可哀想だからだし!

業「女の子にこんな変なことをさせたくないし。」

由莉「そのセリフ言われたことないんだけど。」

業「ふ〜ん。でも、覚えておいて?俺は、由莉ちゃんのことを女子として見るからね。」

何言ってんだよ俺!
半分、告ってんじゃん!
鈍感ならいいけど!

由莉「ありがとう。」

鈍感で良かった。
俺は、ゴミを持ってゴミ捨て場に行ってゴミを捨てる。

業「こういう力仕事は、女の子に任せる仕事じゃないっての!」

由莉「カルマくん。ありがとう。いろいろと。」

業「別に?助けたくて助けただけだし。」

俺が自然に笑えたのがこの瞬間だった。
由莉は、少しだけ頬を赤く染めて笑った。
笑い合えたのは、これが初だった。
俺が由莉を一目惚れしたって言ったらどんな顔をするの?
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