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【ハイキュー!!】月と影の奏で R18

第2章 月華


なんで、あんな事になったんだっけ?
あの日の事は忘れられないのに、肝心なところはよく覚えてない。

鏡に向かって、寝癖と格闘してる和奏を眺めながら、考える。

「泊まって…。お願い。」

あの日、和奏はそう言ったんだ。
ただ、外で鳴り響いてた雷が怖かっただけで、それ以外の事なんて何にも考えてないような顔して。

頼られて嬉しいような。
男として見られてないようで悔しいような。
一緒に居たいような。
一緒に居たらまずいような。

こんな矛盾だらけの感情を持て余して、yesもnoも言えずにいた。
ただ、和奏が怖がってるなら、側に居てあげたい。そう思ってたんだ。

そう言えば、僕はいつから和奏の事が好きなんだろう。
気付いた時には側に居た。
産まれた時からの幼馴染だ。

小さい頃に幼馴染達が通るであろう「大きくなったら結婚しよう」の約束も、当たり前のように交わした。
和奏は覚えていないかもしれない。

小学校の頃は、周りからからかわれるのが嫌で、
距離を置いた事もあったけど、
僕の中で和奏の存在はずっと特別だった。

それが恋愛感情だと気付いたのは、中学に上がってからだった。

「なぁ、皐月って、お前の幼馴染なんだろ?紹介してくれよ。」
「え?なんで?」
「だって、クラスで断トツ可愛いし!俺、速攻で告る!」

鈍器で殴られたような衝撃って、ああいう時に使うんだと体感して初めてわかった。
和奏を恋愛感情で見てる奴がいる。
自分の中で初めて芽生えた黒い感情だった。

「僕、そういうの面倒だから、勝手にしたら。」

興味ないフリをしながら、走る心臓を落ち着かせるのに必死だった。
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