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【ハイキュー!!】月と影の奏で R18

第8章 朧月


電話が切れたのを見計らって、
ポカポカと五月雨式にパンチが打ち込まれる。

「距離置くんじゃなかったのかよ?もう2人で会わないんだろ?違うのかよ?」

うっ…と皐月がパンチをやめる。

「勘違いさせとけよ。お前の事が好きだって馬鹿な奴は、利用したらいいんだよ。」

「影山くん…?」

不思議そうにこちらを見上げる皐月。
本当に全部説明しないと全然伝わらないんだな。
そんな鈍い様子さえも可愛いと思えるのは重症かもしれない。

「もう皐月が泣かなくていいように、俺が守ってやるから。だから…嘘でもいいから、俺の彼女になれって言ってるんだろ。」

「いや…あの…でも…」

あたふたした皐月の様子に、先程より少しの手応えを感じる。
ここまで来たら、押すしかない。

「私…影山くんの事、好きになれるかわからないよ。」

「そんなの俺が勝手に頑張るから、お前の気にすることじゃない。俺が利用していいって言ってるんだから…皐月は何も考えずに甘えてればいいんだよ。」

「でも…でも…」

「どんな理由ひねり出して来たって、付き合う為なら俺が全部何とかするから。」

月島が好き以外の理由なら全部。

「でも…」

「まだ言うのかよ。そろそろ黙れ。」

皐月がコクリと首を縦に振るのを見届け、
目の前の俺の彼女を抱きしめた。

腕の中で小さく震える皐月を見て思い出す。
泣いてるのか。。。
そうだ。皐月は10年越しの恋を終わらせたところなんだ。

「なぁ、好きになれ…なんて言わないから、今日は朝まで一緒に居させて。」

今なら欲望にも簡単に打ち勝てる気がする。
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