第5章 寒月
わざとこんな言い方を選んでしまう。
月島には相当腹が立ってるんだ。
「まぁ…確かに違うけど…。和奏、本当に体調不良なの?」
月島の余裕ぶった態度が神経を逆撫でした。
やべぇ…殴りてぇ。
右手の拳にギューっと力が篭ったところで、
「蛍にも…」と心配そうに口止めをしてきた皐月の顔が横切った。
「……。お前に教えてやる事なんて、一つもない。」
「……。あっそ。別にいいけど。」
月島の背中を見届けてから、もう一度顔面に冷たい水を浴びる。
そんな事で収まるようなイライラでは無かったが。
別れ際の真っ赤な顔の皐月を思い出そう。
その方がいくらか効果があるだろう。
2年生コンビからの絡みも、3年達からの睨みも耐えれるだろう。
部活が終わったら、皐月にLINEを送ってみよう。
今までは「排球部!!」ってグループでのやり取りのみで、直接連絡した事など無かったが…
今日の進展を考えると、それぐらい許されるだろう。
そう考えると、その後の部活は普段以上に調子が良かった。
皐月…効果抜群過ぎるだろ。