第1章 朔
「あっ…。も…むり…。」
自分の声だと改めて考えると、恥ずかしくて思わず赤面しそうな声を出してしまう。
「…早くない?僕はまだ全然足りないんだけど…。」
見慣れた家具に囲まれたいつもの部屋で、既に慣れきってしまった快楽に身を落とす。
「おねがい…もう…。」
快楽の渦の中でも、心だけは何処か冷静だ。
「ちゃんとお願いしなよ。」
彼もいつも通りの使い古した言い回しで、私を追い立てる。
「け…蛍。お願い…イキたいの…。」
「ふーん。まぁ、合格点だね。」
蛍は口元だけ少し微笑むと、そのまま私を快楽の底に突き落とした。