第16章 佳月
和奏ともう一度ゆっくり話したい。
和奏と月島の間に何かあったって、
別に俺と和奏の関係が悪化したわけじゃないんだ。
だから…大丈夫。
家に帰ってからも、何度も大丈夫だと自分に言い聞かせた。
イメージトレーニングも大事だ。
なんて思い至って、楽しそうな俺と和奏を想像する。
想像の中の和奏はニコニコと笑っていて…
でも、そこには何処か寂しげな感情が含まれていて…
付き合ってから、俺に向けられてきた笑顔だった。
大丈夫。
泣いてるより、全然マシだ。
少し寂しげだって、笑顔は笑顔だ。
俺がもっと笑わせてやりたい。
きっと明日になったら、いつも通り登校して、一緒に授業を受けて、部活して、和奏の家に帰って、俺だけの和奏だって、ちゃんと確認して…。
和奏が揺れているなら伝えよう。
俺がどれだけ和奏を好きか。
必要としているか。
もし、月島に心が揺れたって、また和奏にこちらを見てもらえるように、何度だって…何度だって努力を惜しまないって。
だから、俺の隣にいて欲しいって。
明日になったら、そう伝えよう。
これ以上、和奏の中で月島の存在が大きくなる前に。
早く明日が来たらいいのに。
こんなにも和奏に会うのが待ち遠しい。