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【ハイキュー!!】月と影の奏で R18

第14章 煙月


「ちが…あれは、違うの!そんなんじゃないの!」

そんな反応も、肯定と同じだろ。
そんなんじゃないなら、何だと言うのだろう。

嘘をつくのが下手というのも、こういう時は考えものだ。
嘘で隠せるなら、隠しておいて欲しかった。

俺が少しずつ、それでも必死に積み上げてきた物を、
月島が簡単に突き崩したんだ。

「わかった。」

わかったから…もう何も言わないでくれ。
和奏の言葉が、態度が、表情が…
全てが月島を好きだと伝えている。

前までの俺なら気付かなかったかもしれない。
でも、和奏の深いところまで知った今なら、
少しの変化でわかってしまう。
知りたくないと、目を逸らしても。

話し合えば、終わってしまう予感がする。
大切に積み上げてきた…。
グラグラしてはいるけど、倒れてはいないこの関係を自分から終わらす事なんて出来ない。

「あ…あのね、飛雄…。」

何を言うつもりなんだろう。
たぶん、聞きたくない事だ。

「悪いけど、今日は帰る。」
「え…。」
「やっぱり、合宿で少し疲れてるから。明日の朝、また迎えに来る。」

ここに居てはダメだ。
今は和奏と話し合っちゃダメだ。

大丈夫。
和奏が俺を好きだと言ってくれたのは嘘じゃないから。
きっとまだ大丈夫だから。

和奏の返答も待たずに、自分の荷物を担いで、外に出た。

追い掛けては…こない。
何を期待しているんだろう。
何だか、急に目の前が真っ暗になったような気分だ。

ポツ…ポツ…と大粒の雨が降り出して、
トボトボと歩く俺を濡らした。

何てタイミングのいい雨だろう。
今まさにこう言う気分だ。

俺の気分が落ちて行くのに合わせて、
雨足はどんどん強くなっていった。
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