第13章 大人の喧嘩殺法
今日は館外のデモ警備。
警備対象は市内のPTA団体“子どもの健全な成長を考える会”で、武蔵野第一図書館の前庭で百名ほどが集会の真最中。
デモや集会が白熱すると何かと、もめごとが起きやすいということもあり、今回も警備という名目の監視だ。
露骨に制服の防衛員なんかおけないので、私服の特殊防衛員が配置されている。
わたしたちは離れた位置で監視していて、堂上教官や小牧教官は本部付近にいる。
『もうそろそろおしまいか・・・』
終わりに近づいてきたころ、後ろの方でなにかが動いた気がして、特に注意して見ていた。
その刹那――
パン!
と乾いた破裂音が弾けた。
続けて数発。
図書館前の車道を駆け出す背中が見え、わたしはその背中に向かってすぐさま走り出す。