第1章 私ひとりで隠しごと
「下校の時間です。部活動、委員会を終了し、すべての生徒は帰宅準備を始めてください」
校内放送が流れた。私の通う高校は19時に活動終了と決められている。もっとも、私が所属する女子野球部なんてみんな不真面目なので、もうずっと前から道具を片付けちゃっていて、セーラーにも着替え終わっているし、後は帰るだけという感じだ。
「終わった終わった!ねえ有、帰りどっか寄ってく?」
友だち数人が私に寄ってくる。私は「ゴメンね」と誘いをかわした。
「親に買い物頼まれてるから、一緒に行けないんだ。ホントは行きたいんだけど」
「そうなんだ〜ザンネン、んーじゃあまた明日ね!お先〜!」
そう言って彼女らは部室を後にした。パタパタと足音が遠ざかる。私は部室にひとり残って、ペロリと舌を出した。
買い物なんて、嘘。
部室の窓から外を見やる。ひとり、またひとり、下校する生徒たちが見える。そうして19時半、人影も全く見えなくなったころ、私は部室の電気を消し、パイプ椅子に腰掛けた。そっと、セーラーの裾に右手を差し込み、自分の胸を撫でる。
「ふぅ…」
思わず熱い息が出る。
ひと月ほど前から、何度もこんなことを繰り返している。誰もいない夜の部室で、ひとり自慰にふける。とはいえ、あんまり過激なことはできない。胸やパンツをさすって、ちょっとしたスリルを楽しんで終わり。それだけでも十分だった。
「ん…」
右手で胸をさすり、左手をスカートの下に入れる。私のパンツは期待ですでに湿り気を帯びている。
「ハァ…んん…」
さわさわと、触れるか触れないかくらいのタッチを繰り返す。自分の下半身が熱くなっていくのがわかる。気持ちいい、でも、そろそろやめなきゃ。そう私が思っていると
バタンッ
勢いよく部室のドアが開いた。