第1章 前編 時の彼女と死の外科医
「す、すみません、さっきのは幻聴ですよきっと。私も聞こえたけど幻聴ですよ」
ユーリはローの表情がいつになく恐ろしかったので、とりあえず心当たりのあるものを謝った。
しかしローの表情が変わることはなく、ただ静かにユーリを見下ろしていた。
ユーリは大量の冷や汗を書きながら視線を泳がせ、1人オロオロしていた。
まさに今から人でも殺しそうな目付きで睨まれれば
流石のユーリも動揺するだろう。
しかしそんな動揺のなかでもローと再び目が合った時、条件反射で嬉しさを感じ思わず笑ってしまった。
恐怖と嬉しさの入り混じった変な表情になったけど。
「…っ」
「!?」
ローは咄嗟に手を伸ばしユーリの顎を掴むと、一気に距離を詰めた。
それこそ鼻先が触れ合うほどに。
それに驚いたユーリは思わず仰け反ってバランスを崩し、そのままローに押し倒された。
「…ん!?」
背中の痛みに思わず目を閉じたユーリは、唇に感じた感覚に驚いて目を見開いた。
ユーリに覆いかぶさるように両手をついているローは、そのまま舌でユーリの唇を割って入り好き勝手に口内を翻弄した。