第6章 STRIDE
…私、対等どころかちゃんとスタートも出来てないじゃないか。みんなは、轟くんの最初の攻撃“ぐらい”予想していたんだ。
目の前が暗くなる。頭の中で絶望が広がる。
嫌だ。嫌だよ。
今まで頑張ったことが走馬灯のように頭の中に溢れ出した。
ヤギさんは手伝ってくれた。相澤先生は励ましてくれた。みんなは、きっと今私をテレビの前で応援してくれている。
……それなら、なんでもいいから前に進まないと!!
キッと前を向く。絶対、諦めたりしない!
しゃがみ、氷に手を当てる。手のひらの熱で最低限の氷を溶かし、強引に足を動かそうとする。
ぴきぴき、バリ
わずかに足が動いた。動かせ!動かせ!!
「うごいた!!っぐぅ」
辛うじて地面と足を離し、動けるようになった。
大分遅れちゃった。でもきっとまだ大丈夫!!そう自分に言い聞かせながら進む。足を引き摺りながら。
凍らされた足が無事な訳もなく、足の感覚なんてものはもうないのだ。