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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第50章 NO DANCE NO LIVE!




「そっか、それでずっと悩んでたんだ。」

心臓が大きな音でなるのを聞きながら、私は恐る恐る出久くんの顔を見た。

あれだけエリちゃんのことで頑張っていた彼なのだ。こんなことではエリちゃんのためにならないと怒ったかもしれない。迷っている私に失望したかもしれない、と。

彼の顔は、怒ってはいなかった。
呆れた、って言う顔に似ている気もしたが、そういうのでもなく、なんかもっと、優しくて。

「い、出久くん……あ、呆れちゃった?」
「そんなわけないよ。」

そう言うと出久君の顔はどんどん優しくなって、それからニコッと笑って見せてくれた。

「ひよこちゃんはそういう子だったよなぁって、思い出したんだよ。」
「……それは、良いこと?」
「うん。良いこと。」
「良いこと……なんだ……。」

‘“良いこと”だっていうことが、すぐには信じられなくって、出久くんから目を逸らして座り直した。

「そう……かなぁ……。いいのかなぁ、こんなの……。」
「うん。ひよこちゃんの、すごいとこだと思う。」
「すごい…?」
「うん。すごいよ。」
「……ふぅん。」

なんだか腑に落ちなくて足をぶらぶらしたら、出久くんは少し笑った。

「悩むことが、誰かのために悩み続けることが出来るのはひよこちゃんの武器だよ。」
「……でも、そんなの疲れるし弱いだけだよ。」
「ううん、弱くない。」

いつも通り真っ直ぐ言う彼の言葉がこそばゆくて、私はなかなか素直にそれを受け入れられなかった。

「……ふ、ふぅ〜ん。そぉ、なんだぁ……」

そっぽを向いて微妙な返しをする私を見て、彼は笑った。それがさっきよりもっともっと、こそばゆくなる。

「こっ、この話は終わり!だ、ダンスするからさっ!見てよ!」
「あははっ。わかった!」

私の今できる精一杯のダンスを、出久くんは真剣に見てくれた。有益なアドバイスもくれた。私は息が上がった状態のまま、そのアドバイスを必死にメモした。

「エリちゃん、喜んでくれるといいね。」
「……うん。頑張ろ、いろいろ。」

エリちゃんはどんなふうに笑うのかなって、彼女の悲しそうな顔を思い返しながら思った。


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