第49章 buzzっちゃったか
「文化祭があります」
私が机の上で指遊びをしていたら、そんな声が聞こえた。
いつもならわっと盛り上がっているはずだけれど、色んなことが重石になって上手く喜びを表現出来なかった。みんなは「がっぽ〜い!!!(※学校っぽいの略)」と大盛り上がりしている。
もちろんめちゃくちゃ嬉しい。
めちゃくちゃ楽しみだ。心臓はすごくドキドキしている。
「いいんですか!?このご時世にお気楽じゃ!?」
ピクッ
「切島…変わっちまったな。」
「でもそーだろ、この敵隆盛のこの時期に!!」
身体がピキっと固まる。
汗がぶわっと溢れた。
やっぱ、そうか。そうなんだ。
私はこの敵隆盛の時期に、変に“バズって”しまったのか。
結構、ヤバいのでは?
教卓では寝袋のままの先生が文化祭の説明をしていた。
文化祭は他科が主役であること。彼らもストレスを感じていることは多いこと。そう簡単に自粛する訳にはいかない事。
申し訳なさと、不安と、恐ろしさ。
それからちょっぴり、文化祭を楽しみな気持ち。
それで心が埋め尽くされていく。
そのせいで、天哉くんの挙手を促す声にも反応が遅れてしまって、爆発的な勢いで手を上げるみんなに気圧されてしまった。
「上鳴くん!!」
「メイド喫茶にしようぜ!」
「麗日くん!!」
「おもち屋さん」
「腕相撲大会!!」
「ビックリハウス」
「クレープ屋!」
「ダンスー!!」
みんなが口々にやりたいことを言っていく。
私もなにか言わなければと肩の前で手をにぎり、口をもごもごさせた。
何がしたいかな。
好きな物、とか、好きな食べ物?
みんなで楽しく出来たらいいけど、
なにが…なにが……
「はい、安藤くん!!」
「あっ、あぅ、ご、ぷ、プリン屋さん!」
「プリン屋さんか!!…プリン屋さん!?」
慌てたせいで、なんだか作るのに時間がかかるかつ食べ歩きには全く向かないものを提案してしまった。
あわあわしている間にもまたいろいろな提案が飛び交って、結局この時間の間には決まらなかった。