第48章 転がる岩、君に朝が降る
大人しく手にぺたぺたと絆創膏を貼っている間、轟くんはまだ心配そうにこちらを見ていた。
「痛くねえやり方はないのか?」
「あー…うー、血を使うからねぇ…。ブラド先生はコスチュームに管が刺さっててさ、あれいいなって思うんだけどさ……ちょっと怖くて……。」
「…難儀だな。」
「なんぎ……ですなぁ……。」
2人並んで腕を組んで、しばらく悩んでいた。
明確な解決策は出てこなかったけれど、轟くんの優しさを感じてひとりで勝手に嬉しくなっていた。うれしくなってしまって少し笑ってしまっていたけれど、轟くんは気づかずに考え続けてくれていた。
その夜、また眠れなかった私は、この優しさを出久くんに自慢した。出久くんはその話を、すごく嬉しそうに聞いてくれた。
「僕もね、凄く嬉しいことがあったんだ。」
「そうなの?」
「うん。実は今日、青山くんと仲良くなれたんだ。」
「わぁ!」
青山くんは頑張っている出久くんのことを気にかけてくれていたらしい。不器用にもすごく心配してくれていて、彼はすごく優しい人なんだと出久くんは教えてくれた。
「そうだったんだ…。私青山くんのこと、意外と全然知らなかった……。私も仲良くなりたいなぁ。」
「うん。フィナンシェくれたりしたよ。」
「……ほぉ?」
「ん?」
「……フィナンシェ…って…?」
「…ぼ、僕もあんま聞いたこと無かったから!調べてみよっか!」
私が予想外のところで引っかかっていると、出久くんはスマホを取りだして調べてくれた。私はガラケーを握ってそれを見つめた。私もスマホ欲しい。
「こういう長方形の焼き菓子…みたいだよ。」
「なるほど!美味しそう!」
「作り方の動画も載ってるよ。」
「明日砂藤くんにいろいろ聞いてみよ……。」
「あっ、そういえば!」
出久くんはハッと何かを思い出したかのように動画サイトを探り出した。気になった私は、出久くんの隣に座って画面を覗き込む。
「なあに?」
「なんかSNSを中心に活動してるヒーローもいてさ。動画を頻繁に上げたりしてるヒーローとかも居るんだよ。」
「へぇ!なんか今っぽい。なんとかバーだ。」
そんな会話をしながら出久くんが出した画面には、髪の毛がオシャレに長く、オシャレで大きなピアスをつけたヒーローが映っていた。出久くんはその人の最新の動画を開く。
その動画の題名は、
