第47章 彼らが暮らした家
目を開くとそこは護送車の中だった。
「ねぇ君、大丈夫?急にガクって倒れてたけど。」
「……。あっ!?ぜっ、全然っす!大丈夫です!!」
救急隊員の人たちはすごい心配そうにこちらを覗き込んでいた。そりゃあ心配にもなるし訝しむに決まってる。
「ごめんなさい、ご心配お掛けして。もうすっかり大丈夫なので!ちゃんと護衛します!」
どこか埃っぽくて薄暗い荷台の中で、私はワキワキと腕を動かす。不審に思われたのなら弁解したかった。
救急隊員さんたちの苦笑いが見える。恥ずかしい。
「いやあでもねぇ、護衛って言っても、今のところ順調だし、」
HONK HONK!
救急隊員さんたちとの間に和やかな空気を作ろうとした瞬間、そんな大きな音が車内に響いた。
「えっ、えっ?これって、」
「警告音……。ヒーロー、体制整えて。護衛してくれ。」
「はっ、はい!!」
個性を発動させて剣を作る。
皆さんの周りにバリアのように檻を作ると、次の瞬間車が横転した。
「きゃわっ!?ぐ、ぬぬ、」
車の横転によるダメージが少ないように、檻の強度をあげる。横転が収まったことを確認し、檻をとく。救急隊員の方たちを車から脱出させる為に荷台をこじ開け、外を見た。
大惨事だった。
スナッチさんが運転手の方を守ってくれていて、誰かと応戦してる。誰か、っていうのは……。
「…荼毘、さんに、コンプ、レ…」
スナッチさんの後ろに彼らが見えて、私は考える前に剣を振るって彼らとの間に壁を作った。
「うらぁぁあ!」
荼毘さんの炎と共にコンプレスさんのあの小さい玉に閉じ込められたりしたら、死んでしまう。
「スナッチさん!私もっ!」
「アマネ!かたじけない!」
私は剣を構え、背後にいる救急隊員の方たちを守る姿勢をとる。後ろから救急隊員さんたちの荒い息が聞こえる。
敵連合は“殺そうと”している。
命が、かかっている。
私が、守らなければいけないのだ。
手に力が入る。太ももの筋肉が震えている。顎がガチガチと音を出している。ヒーローはいつも、こんな気持ちなのか。
「みなさんは、絶対守ります!!」
震える声で宣言をした。
頼りないかもしれないが、声を出せば少しでも安心させることが出来るかもしれないと思ったから。
「立派になったもんだな。安藤ひよこ。」
腕に力を込めた。