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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第46章 どんなに強い者も




結局、出久くんは殺されなかった。


私は、彼やエリちゃんが、他のみんなが、頑張ってくれてたからだと思ってる。

そのみんなの中に私が入っているのかは、知らないけど。


みんなが救急車に運ばれていく中、私は全然怪我なんてしてなくて、ただお腹の辺りに切り傷が数箇所…ってだけ。ちょっと貧血なだけで、全然立っていられて。

そんな私なら、もっと出来ることがあったんじゃないかって、救急車で運ばれていくみんなを見ながら思ってた。

不甲斐ない自分に涙が溢れそうになって、そんな場合じゃないだろって、我慢した。


私に、出来ること、

「アマネちゃん?何してん!はよ救急車乗り!」

救急車に入ろうともせずに考え込んでいる私を見て、ファットさんは声をかけてくれた。急にスレンダーでめちゃびっくりしたけど、声はファットさんだった。

「私…全然怪我なくて、全然元気で。」
「え!そうなん!?」
「私、全然まだ動けるから…だから、なにか…手伝います。」
「…けどな、もうやる事なんて無いで。救急車乗ってって付き添いくらいや。だからはよ」

「つきそい……。そっか。」

「ん?ソッカ?」


私はつま先をくるっと返してみんなの救急車から離れた。白い車の前から走って、黒い車の元へ。


「私、死穢八斎會さん達の護送、お手伝いに行きます!」
「え、えぇぇ!?」


『…アイツはずっと、努力して、』

あの人の声を思い出した。
一瞬忘れたあの願いを、また思い出したのだ。


「あ、アマネちゃん!?」
「あの人からの大切な想い、忘れてた。」
「想い…?」

立ち止まって、お腹の辺りで手をぎゅっと握った。

ただ、私だって役に立ちたい、って気持ちばっかりが溢れていた。

想いとか本当は、二の次なんだ。
私って、やな、やつ。


「私の"個性"を、使えるかもしれないし」
「アマネちゃん!ちょ、まちぃ!」

再び歩き出そうとする私の肩を、ファットさんは強く掴んだ。


「護送なんてほぼ危険性は無いかもしれん。でも、キミ、"個性"て」
「…私…その…」
「役に立ちたいって気持ちは分かる。歯痒いって気持ちも分かるよ!オレも新人時代そうやったから。」
「でも…私、行きたいんです!」
「…キミ、意外と頑固よな。」


私とファットさんは、少しの間正面で睨み合った。


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