第46章 どんなに強い者も
___ひよ__ん
_まね___
「アマネ!!」
「…はっ!」
目を開くと、少し怒り気味な相澤さんと不安げな出久くんの顔が見えた。私は複雑に絡まった地下迷宮の道のひとつに絡まる形で、奇跡的に空中に留まっていたらしい。
「あいざっ…イレイザーヘッド!それから、い…デクくんも!」
「ひよこちゃん!さっき…」
「おまえ…大丈夫か?」
「た…ぶん…。」
頭を擦りながら上半身を起こして言うと、2人は顔を見合せていた。
夢の中でのあの出来事を、言おうかどうか迷ったけれど、とりあえず言わないでおいた。
「ご、ごめんなさい。なんか、その、頭にごつーんって、頭に…あたって、気を失ってたみたいで……でも大丈夫です!」
「さっき、トガヒミコが居たけど…」
「なんか、どっか行っちゃいました!」
「えぇそんな…」
パッと立ち上がって当たりをキョロキョロ見回すと、近くにサー・ナイトアイや警察の皆さんもいて、
「わっ!す、すみません、お騒がせして…」
「いや。問題ない。それより、トガヒミコはキミを置いて何処かに行ってしまったというのは本当か?」
「本当、です。今はゴクドーモンだから、って、私を捕らえようとはせずに……」
「ゴクドーモン……」
ペコペコと頭を下げて彼らの団体に混ざり込んだ。
ロックロックさんは途中で置いてきた、らしい。あと入中さんは確保した、みたい。
『連合まで目的が及ぶ場合は____』
ふっと言葉を思い出す。
思い出して、それから焦った。
連合が関わって来るということは、
私はもうだめ、なのかも。
不安になって相澤先生に目配せをすると、彼は静かに頭に手を置いた。
「いい、進め。」
「…はい」
走り出した彼らに着いていけというように、先生は背中をぽんと押す。押された私は、彼らについて行くように走り出した。
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「あ、あそこ!」
出久くんが指さした先を見ると、誰かが倒れていた。
そして、壁の向こうから、轟音が聞こえた。
その向こうで、なにか大変なことが起こっていると、すぐ分かるように。
私が倒れている人に目を奪われている間に、出久くんは大きな音を立てて壁を蹴った。
壁はボロボロと崩れ落ちて、その向こうに、
ボロボロの通形先輩と、ボロボロのオーバーホールさんを見た。