第44章 何者
次の日、鋭児郎くんのことがネットニュースに載っていた。
梅雨ちゃんとお茶子ちゃんのことも、載っていた。
「おまえ名前!!ネットニュースにヒーロー名!のってるぞスゲェ!」
「梅雨ちゃん麗日ぁ!すごいよー!名前出てる!」
【新米サイドキック烈怒頼雄斗爆誕!】
【リューキュウ事務所に新たな相棒】
それぞれすごくかっこいい見出しで記事になっていた。
きゃいのきゃいの盛り上がるものや照れるもの、疲れてそれどころじゃないものや悔しさに歯ぎしりするものと様々で。
私はと言うと、知り合いが記事になっていると胸をソワソワさせていた。
それから、私のは無いのかな、とすこしだけ期待して。
「あ、安藤も載ってる!ちっちゃく!」
「え」
あっちゃった。
【おさわがせ!どじっ子サイドキック誕生か?】
そんな見出しで始まった記事には、私のすっ転んだ時の写真がでかでかと載っていた。ひっくりがえって目を回して、すんごくおバカに写っている。
この写真鼻血出てるし。
む。
「……“いんしょーそうさ”だ…。」
「いや安藤結構まんまだろ。」
「『一定層に熱烈なファンが出来るかも』だって。安藤おもろ。」
私のちっこい記事を見た電気くんや範太が、けたけた笑いながらはやし立ててくる。
喜んでいいのかなんなのか。
もんもんと考えたあと、とりあえず、眉を八の字に折り曲げて意思表明をしておいた。
「仮免といえど街へ出れば同じヒーロー……素晴らしい活躍だ……!」
天哉くんはそんなみんなを眺めながら呟いた。
素晴らしいのかな、と曲げた眉を天哉くんに向ける。
「だが学業は学生の本分!!居眠りダメだよ!」
その言葉で私は、曲げた眉にむんと力を込めた。
「おうよ飯田!覚悟の上さ!なァ!?」
「うん!」
「頑張る!」
「安藤くんは授業中よく寝てるしな!」
「心外だ!」
曲げた眉にプラス、頬を膨らませた。
もう一度意思表明だ。
ぷんこっこ。
そうやって少し怒っていたらふっと、出久くんが目に入った。いつもと同じだけど、少しどこかが違う顔。
あ、そうか、出久くんじゃない。
デクくんだから違うんだ。
なーんて、おもったりした。