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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第41章 ノミの先輩と隠れる後輩


Side 天喰環


がさ、ごそり

とた、とたたた


後ろから、音と気配が漂ってくる。

ああ、やっぱりだ。
思い込みじゃなかった。やっぱり本当だ。


俺は今誰かに、追われている。


昼休みまでは普通だった。
気配なんてしなかったのに。

昼休みからだ。
なんだかよくわからない気配が、俺を襲っている。


ああ、俺は学校で命を狙われるほどダメなやつなのか、と少しだけ涙が滲みそうになった。


がたんっ

とた、ととと


音は調子に乗って騒がしくなって。

これ以上続けられては、俺の心がもたない。
正体を突き止める為にも俺はぐるりと後ろを振り返ることにした。


ぐるん

「ぎょっ」


振り返れば、見たことのある小柄な女子生徒が汗を飛ばして焦っていた。


キミが…犯人か…。

とこの一連の事を終結させようとするも、彼女はあわあわと逃げようとする。


左右をキョロキョロ眺めてはあたふた。
振り返ってはあたふた。
目を合わせてはあたふた。


そして、何を思ったか掃除道具入れをバカンと開けた。


「何故…」

「あわっ…!うわうわああ、うぇぁっ!」


掃除道具入れは思いがけない来客に猛攻を食らわせる。

ほうきでポカン、長ぼうきでバカン、モップでドカン。
そして最後に、バケツでバコン。


彼女はバケツを頭にかぶり、バケツの妖怪と貸していた。


「え…えぇ……。何故…。」
「いっつつ……はっ!その声は…!」


声をもらすとバケツおばけは、はっと息を飲んでこちらをむいた。(気がする。)


「…え、ええと…き、きき、奇遇っすね!先輩!」
「えぇ……」


少しこもった丸く柔い声は、確かにこちらに向いている

ここまでしてなおしらを切るつもりとは。
一周まわって天才かもしれない。


「…じゃあもう行くけど…。」
「えぇ!ま、まま、待ってお話がっぅぁあ!」


バケツをかぶったままのそれは、また顔面からばったり倒れる。足にほうきが絡まってしまったようだ。


「何故…」
「もう!」
「何なの………」
「あっ、あの!せっ…先輩!あの!」


バケツを外した眇が、真っ赤な顔で覗き込む。
その瞳は、どこまでも透き通って透明だった。



「インターンシップについて、なんです!」



決意に満ちたその声は、廊下中に響きわたった。


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