第37章 Let's struggle!
「合格……」
驚愕で目を見張った。
信じられなくて、身体が固まった。
「ほんと……ですか?」
「こんな嘘つくか。」
瞬きをすると、何かが零れていった。
両の眼から、2粒。
「また泣いてんのか。」
「これは、ちがくて……ですね…。びっくりして」
目をこすりながら、先生にヘラっと笑いかけた。
心が高揚して、頬も熱くなっている。
思考がまだ上手くまとまらなくて、言葉も上手に出てこない。
「私、ほんとに…その、」
「まだスタート地点だろ。」
先生の言葉に、口をキュッと結んでからくんと頷いた。
「私の夢……です。こんなに、はやく…一歩進めちゃうなんて…」
「早くもないだろ。」
先生の言葉に、首をかくんと傾げた。
先生ははぁとひとつため息をつくと、ゆっくり喋りだした。
「お前、ずっと憧れてたんだろ。ヒーロー。普さんに憧れた時からずっと。やっと、スタート地点だろ。」
「そ……なんですかね。」
手元のカードを胸に手繰り寄せてぎゅうと抱きしめる。
無茶苦茶だったけど、
最後は貧血になっちゃったけど、
でも、ほんとに
嬉しいんだ。
「プリントも読んどけよ。採点内容が書かれてる。」
「はい。」
プリントを広げれば、私の二次の試験の減点されたところとか、たくさん書いてあった。
【行動に迷いあり。】
【個性の使い方が乱暴。】
【優しさは時に弱点だ。】
総合で、51点。
ギリギリセーフの合格だったみたいだ。
「みんなもう帰る準備万端だ。服着替えて早くこい。」
「あの、先生。私、これを見せたいです。」
「そんなん自由だが、」
「今日です、今日…!」
「誰だ。」
自然と手に力がこもった。
カードをぎゅっと握ると、カードは少しだけ熱くなった。
誰って言われると、名前を出そうとすると。
まだ心臓が飛び跳ねてしまう。
「……見せたいのは…」