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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第35章 ZERO TO HERO





スマイルヒーロー「Ms.ジョーク」

“爆笑”という個性でヒーロー活動をしているプロヒーローで、相澤先生とは昔からの知り合いなんだとか。


事務所が近くだったってことは、


……なんて思って、私は思わず口を開いた。


「......あ、あのっ」
「おお!本物じゃないか!」


その小さな声は、簡単に掻き消される。

なんて言うか考えていなかった。
遮られた安心感と少しの羞恥を感じながら、私は一歩後ずさる。


「すごいよすごいよ!テレビで見た人ばっかり!」
「1年で仮免?へえーずいぶんハイペースなんだね」


士傑の方々とはまた違うざわめきだ。


あんなに激しいものではなく、爽やかで乾いた風。


「傑物学園高校2年2組!」


そんな薫風の到来に、私の心臓はまた轟いて、手先が凍える。


大丈夫大丈夫、と自分に言い聞かせ深呼吸をしていると、またも強引に手を引かれた。


「やあ!俺は真堂!君、安藤さんだろう!神野事件の!!」
「ひょ…あ、えと」
「今日はよろしく頼むよ!!」


真堂さんは、手をつかんだままブンブンと振り回す。

夜嵐さんとはまた違う勢いに、私はまたも泡を吹きそうになる。


ふと、薫風の中に、どこかすえたようなにおいも感じた。

なんだか、気味悪い。


目立って仕方がないその不自然さに、私は思わず口を開いた。


「あ、あの……真堂さむぐっ」
「おい、もう行くぞ。」


ずりずりと引きずられる。


その言葉を遮ったのは勝己くんだった。

いきなり私の顔を腕で抱え込み、ずんずんと前へ進んでいく。


「やめっ…ぐるじ」
「いつまでもわけわかんねえ奴とじゃれてんな。」
「じゃれてるわけじゃ」
「…デク」
「はっ」


勝己くんはそれ以上言わなかった。
でもそれだけで、分かる。


どうして、勝己くんは助けてくれるんだろう。
どうして、気にかけてくれるんだろう。


勝己くんの腕の中でそんなことを考えていたら、前へ吹っ飛ばされた。


「うぁっ」
「2倍!!」


転びそうになりながらも、その怒号は耳に鮮烈で。

私は大きく

「うん!」

と返した。



さっき握られた手をじっと見つめて、はっと気づく。

あの人も、なんだ。


そう思うとなんだか、緊張がほどけた。


「やってやる!」


そんな決意が、真夏の空へ、響く。


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