第34章 〈番外編〉君は夏に微笑む
「今度の日曜日!空いてる人いますか!?」
寮の共同スペースで、そんな大きな声が響いた。
響かせたのは、私。
自分でもびっくりするくらい大きくてハツラツとした声が出た。
その声に驚いたみんなはハッとこちらを振り向いて、目をぱちくりとさせた。
「お?安藤元気だな。」
「ひよこちゃんどうしたん?とんでもなくテンション高いね」
みんなが私のテンションの高さに慄いているなか、私はニヤける頬を必死に抑えて状況を説明する。
「あのね!!商店街のみんなからお手紙届いたの!!これっ!!ひよちゃん元気?って!」
とうとうニヤけを抑えきれなくなった私は、カサっと取り出した手紙で口元を隠しながら説明する。
「それでねっ、今度商店街のお祭りがあるからお友達と一緒においでって!!それでそれで……一緒に行ける人は、いませんか!!」
「「おぉっ!!」」
「いくいくー!!」
手紙を高らかに持ち上げて聞くと、みんなは大喜びで手を挙げてくれた。
これ以上あったのかという胸の昂りに頬は緩みきって自然と笑顔を作る。
ほっぺたが痛くなってぐにぐにと触っていると、みんなからいろいろ声が上がった。
「屋台でる?」
「縁日なのー?」
期待のこもったみんなの目。
私のと呼応しているようにキラキラだ。
「うん!商店街のみんながね、お店ずつに屋台を出すの!」
「うぉー!!」
私の楽しさや喜びが、みんなに伝染していく。
変わらなかったことに喜んで、
変わったことに感謝した。