第32章 夢を諦める方法
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「準備オッケー!」
退院の日。
私は大きく元気な声をあげた。
「じゃあ、私は行くわ。ひよこも行くところがあるのよね。」
「うん。」
「寮に行く前にうちにも寄って。みんな、待ってるから。」
「…うん…!」
リハビリもちゃんとやって、話もちゃんと聞いた。
私が敵にしてしまった彼は、現在治療を受けているそうだ。
まだ意識は戻っていないけれど、容態は快方に向かっているって。
彼のこと、ちゃんと責任とるって決めた。
もう目をそらしたりしないって、決めた。
「ちゃんと学校の方にも連絡したのよね。」
「うん。相澤先生にも言ったよ。」
病院に来てくれた先生に、私はたくさんお話した。
初めて相澤先生の目を見たような気がした。
真っ黒で、真っ直ぐな目だった。
「じゃあ、おばさん!」
「うん。」
「行ってきます。」
荷物を持って、靴を履いて。
真っ直ぐ、前向いて。
私は地面を蹴って、電車に乗った。
向かう先は、
あの人のところ。