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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第32章 夢を諦める方法


Side 切島鋭児郎



腕の中で安藤は、ずっとずっと泣き続けた。

そして、泣き疲れて眠ってしまった。


警官の方々が走ってきて、俺はさんざん怒られた。


なんて無茶をしたんだ、と。
君が危険なめにあう必要は全くなかったと。


すごく落ち込んだし、反省もした。


でも、腕の中で穏やかに眠っている彼女を見ると、後悔、なんて感情は一切湧いてこなかった。


警察に安藤を引き渡して、



それから俺たちは、NO.1ヒーローの最後を見届けた。



オールマイトは、引退した。
そんなの信じられないけど、それは本当で。


林間合宿中に起きたその事件は思っていたよりもずっとずっと大事になっていた。


その渦中に俺たちは居て。


そんな実感、全然なかった。



いろんなことがありすぎた日だった。

きっと、一生忘れることのない一日だ。



ふわふわとした感覚の中、俺たちは帰路についた。

家路は半日以上かかって、それでもまだふわふわしていて。


そして、そんな感覚のまま、身体をベッドに沈める。


目を閉じると、今日あったことが、またふわふわと浮かんでくる。



警察に安藤を引き渡した時、少しだけ声が聞こえたんだ。



『もし目が覚めたとしても、正気であるかどうかは…わからんな。』
『正気である可能性のほうが低いだろう。』



その言葉に、心臓がドキリとはねた。


そうかまだ、安藤は助かってないんだ。

と。


でも、俺に出来ることはもう…いや、多分全部やり尽くしたはずだ。


大丈夫。

安藤ならきっと大丈夫。


そんな証拠も理由もない想いを抱えて目を閉じて。

俺は自然と、石ころのように眠りに落ちた。



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