第2章 プライド×劣等感
「あー確か爆豪は……雄英高志望だったな」
その名前が出た途端、教室がザワザワざわっとした。
雄英高校とは、国内トップクラスの学校で、今年は偏差値79。常人がが行けるところじゃない。
私は、行きたいとも思わない、というか思えない。きっとそんな事言ったら即みんなの笑いものだ。
勝己くんは、そんなところに行くの?すごい。やっぱり私とは対極に位置する人だ……。
「模試じゃA判定!俺は中学唯一の雄英圏内!のオールマイトをも超えて俺はトップヒーローとなり!必ずや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!!!」
もしかして本当に人じゃないのかも。
こんなに何でもできちゃうなんて、やっぱり悪魔だ。
そんな失礼なことを頭に浮かべていると、先生は一言、勝己くんの気分に水をさした。
「あ、そういえば緑谷も雄英志望だったな。」
先生のその言葉に、みんなはぐるりと振り返り、モサモサ頭の彼を見る。
「「「……」」」
私も驚き振り返る。
そんなの、聞いてなかった。
唯一の、“お友達”なのに。
「「「ぶぶー!!」」
「緑谷ぁ??無理っしょ!!」
なんで、みんな笑うんだよ…。
なんで笑うんだよ!ばーか!!
…なんて口には出せず、私は席でただ手を握る。
…みんなに笑われてしまった彼、緑谷出久くんは、私の幼なじみで唯一のお友達。
いつも勉強を教えてもらっている。誰にでも優しくて、ヒーローに憧れていて、ちょっとオタクっぽいところもあるけどとっても優しくていい人。
とっても優しくて、かっこよくて…それで……