第28章 君に伝えたいこと
気を失った彼女は、意識の向こうで夢を見ました。
薄暗い場所にいると、誰かが助けに来てくれるのです。
『助けに来たよ!ひよこちゃん!!』
その言葉は、あのヒーローのものでした。
『出久くん!!』
少女は思わず駆け寄ります。
『会いたかった…!!みんなのところに帰りたかった!みんなと、一緒に居たかったよ!』
夢の中では言葉はすべて裸です。
心の中の言葉はすべて飛んでいきます。
少女が手を伸ばすと、彼はナゼだか手を引っ込めました。
『キミが…ヒーロー科に?』
『へ?』
『人を傷つけたキミが、ヒーローになんか、なれると思う?』
その言葉は少女を貫き、地面にぽっかり穴を開けました。
夢なので、比喩ではなく。
『私は、みんなと一緒にいる、資格なんてないんだ。』
彼女は闇の中に
落ちて
落ちて
落ちていきます。
いつか、その闇の中に光が見えることをしらないまんま。