第26章 ヒーローの顔を見る。
「__から、言ってるだろ___は…」
「ねー!__こちゃん起きな___!大丈夫ー?」
知らない声がして、私は目を開いた。
複数の知らない声が、私の近くから聞こえる。
ここはいったいどこだろう。
目の前には全く知らない景色があって、床の感触もいつもと違うことに気がついた。
「あぁっ!おきたー!!おはよぉー!ひよこちゃん!!」
「っ!?」
薄暗い景色の中にいきなり女の子が出てきて、横たえていた体をガバッと起こす。
金髪でつり目の女の子がどアップで映り込み、私はずりずり引き下がる。
「な……な…」
「私、トガヒミコ!!よろしくね!ひよこちゃん!!」
「え、よ、ろし、く……?」
混乱する私をよそに、その“ヒミコちゃん”…とやらは私の手を握りぶんぶんと振り回す。
きゃーっと、ヤッターっと、彼女は心から嬉しそうで、私はただただぽかんとそれを眺めた。
「よろしく、ねぇ。じゃあお前はここにいるってことだな。」
「えっ」
「ここから離れるつもりはないと。」
部屋の奥から、またもうひとつ違う声が近寄ってくる。
その声には聞き覚えがあって、それは、最近で。
あれ、私は、どうしてここに?
ここは、どこ?
やっと正常に頭が回ってきところで、今度は目の前にツギハギの男の人が現れる。
そのツギハギは痛々しくて、背筋がゾッとした。
「安藤ひよこ。」
私を指さし彼は言う。
「ヒーロー殺しステインに影響を与えたお前に、俺たちは興味がある。」
ペタンと座ったまま、私は顔を青くして見上げる。
「まぁ、死柄木はそれだけじゃないらしいけどな。」
「し、がら…き?」
その聞いたことのある、不気味で不穏な音の響きに、また背筋に寒気が走る。寒気は下からスタートして、頭を通って往復する。
私はとんでもないことを、しでかしてしまった。
そう、初めて気がついた。