第23章 呪われ
「……個性なんて言ったらきっと……友達じゃ…なくなる。」
「そっ、そんな訳ないだろ!!」
そんな不安げな声に思わず、声が裏返るほど大きな声が出る。
「私は……ずっと友達でいたいから…。本当は秘密なんてなく、みんなとちゃんと友達になりたい……でも」
「俺は絶対、大丈夫だから!安心しろ!言っていい!」
不安げな安藤の瞳がこちらを覗き見る。
透き通った漆黒の瞳は、少し潤んでいた。
「でも……」
「壁、に感じるんだ。その秘密は…。」
「っ……。」
「俺は、壁をなくしたい。もっと、親しくなりたいから。」
「……。」
安藤の震えが大きくなる。
ブルブル震えて、右腕で左腕を抑えていた。震えが止まるように。
安藤は顔を下に向け、それから、決意したように俺の顔を見据えた。
「本当のこと知っても、友達でいてくれるって、約束してくれるなら。」
決意の込められたその一言に、俺は一瞬たじろいだ。前も聞いたその言葉。
安藤がいちばん恐れていることは、ソレなのかもしれない。
そして、何たじろいでんだとそれを掻き消すように大きな声を出した。
「当たり前だろ!」
「…………」
安藤の大きな瞳が俺を捉えた。
決意したように息を吸うと、眉をくっと上げていった。
「私の個性はね、」
「人を、敵にするって、もの。」