第22章 must to be
「いるものは?ちゃんと用意してるの?こらひよこ!」
「わかってる!もう!」
おばさんと少し言い合いをしながら林間合宿の準備をする。林間合宿の前日の夜に準備するなんて典型的な阿呆だった。
「えっと、着替えと、それから、んー?」
「ねーちゃんこれもってってよー!」
「ねーちゃんおみあげちょーだい!」
「あぁ!ちょっとまってまって」
旅のしおりをパタパタと見返しながら、そして子供たちに絡まれながら準備を続けた。
「お土産待ってるから。」
「あ、優まで!」
「あー!あつしにーちゃん!」
「うーん……合宿先の…土とかどう?」
「甲子園。」
そんなふうにわっちゃわっちゃしているとなんとなく、楽しくて、いろいろと忘れられた。
「ちょっとひよこ!」
「なーにー!」
もうすぐ終わる!という時に、おばさんの声が家中に響く。
こういう時呼ばれるのって、いっつも面倒事を頼まれる時だ。嫌な予感を胸に、部屋から出て、階段を降りる。
案の定、的中したけど。
「これ!爆豪家と緑谷家に持ってって!」
「え!?いまっ」
「みんなどんな感じなのか聞いてこればいいじゃない!荷物!」
「えぇぇえ!!」
案の定面倒事だ。
ご近所だからって……。
ほら、はい持って!
とふたつのタッパーをぐいぐいと胸に押さえつけられる。
ん、暖かい。肉じゃが?いい匂いがする。おばさんの肉じゃが好きだ。
「でも、いやだー!」
「いいから!行ってきなさい!」
抵抗虚しく、私は家から放り出される。
なんか嫌だったんだよなぁ。
はぁとため息をつき、私は歩を進めた。
まずは爆豪家。
もう1度、はぁとため息をついてピンポンを押した。