第22章 must to be
教室は、特に何も変なところはなくて、いつもと同じだった。
先生の声が響いて、特に何の匂いもしない。日が照っていて暖かい。もうすぐ夏本番だから、暖かいじゃなくて、熱い、かな。
私はぼーっと下を向いて、特に何も考えていなかった。
今日の夜ご飯何だろうな、なにかお買い物して帰ろうかなとか、そんな感じ。
近くに迫った林間合宿については、なにも考えてなかった。というか、考えていられなかった。
「はぁ。」
特に意味もないため息をついて、ちょっとだけ、先生の言葉に耳を傾ける。
「例年使わせて頂いている合宿先を急遽キャンセル。行き先は当日まで明かさない運びとなった。」
「「「えーー!!」」」
みんなの少しネガティブな声が響いて、びっくりした。
きょとんと顔を上げて、何が起きているのか確認する。
みんなはやんややんやとなんか言っているけれど、私は完全にその空気に乗り遅れたようだ。
敵が活発化してるとかなんとかかんとか。
私はハッとこないだのことを思い出して急いでまた顔を下げた。
死柄木さん、なんか、カサカサしてた。潤いがないんだろうな。生活的にも、物理的にも。し“からから”きさん、だけに?……なんちゃって。めちゃくちゃしょうもないこと思っちゃった。反省。
そんなふうに客観的に見て、そのもやもやとした気持ちをやり過ごした。
そんなふうに、呆気なく、しょうもなく、長かった長かった前期は幕を閉じた。