第18章 あなたは特別な人
端的に言うと2人の試験は、凄く怖かった。
最初、2人は全然息があってなくてダメダメだった。
相手はオールマイトで、オールマイトはいつもの優しくてカッコイイオールマイトじゃなくて、怖かった。
勝己くんはいつもよりイライラしていたみたいで、出久くんのことを殴っていたし……。勝己くん、泣いてた。
でも、ちゃんと協力してた。
協力しようとしているんだろうなって、わかった。
勝己くん、頑張ってた。
出久くんも、やっぱりかっこよかった。ちゃんと勝己くんを連れて、2人でゲートを潜ってた。
やっぱり彼はヒーローだ。超カッコイイヒーローだ。
モニタールームで応援していたら、何度も何度も大きな声を出しちゃって、その度先生に注意されてしまった。
でも、怖かった。
2人は何度も壁や床に叩きつけられたり、踏みつけられたり、ヒップドロップされて腰がゴキってなったり、お腹殴られたり、そんなことをされていた。
勝己くんだって、すごく無茶してた。
ヒーローだからって言っても、怪我しちゃうのは怖い。ヒーローだからって痛くないわけじゃない。
「先生!私にできること、ありますか?2人が心配なんです!」
心配がはち切れそうになった私は、試験が終わった瞬間にモニタールームでそう叫んだ。救護係であろう先生に、私もなにかしたいと頼み込むつもりだった。
「そんなに心配しないでも平気さね。じゃあ…そうだね、2人の制服と荷物を保健室に持ってきてくれないかね?」
「はい!」
そこまで聞くと私は、すぐさま教室へ向かった。