第16章 合理的はなまる
チラと時計を確認したあと、モニターに目を戻す。
天哉くんとましらおくんの相手は、パワーローダー先生。
どんな戦い方なんだろうと見ていたら、なんと落とし穴をいっぱいいっぱい作っていた。ましらおくんが尻尾でポイっと石を投げると、どかんどかーんと沢山の爆発音が響いた。
「これじゃあ全然進めないよ…」
「飯田くんの速さならなんとか抜けられるかもしれない。……でも、現場の状況は完全にパワーローダー先生の方が有利…。このままじゃヒーローチームには勝ち目はないね……。」
「じゃあ天哉くんがダーッとゲートまで走っちゃう!…とか?」
そんなことを言いながらモニターを見ると……あれ?
天哉くんがましらおくんをおんぶしていた。
「おんぶしてる!!」
「飯田くん、走って抜けるつもりなんだ!」
そして走り出した天哉くんは、本当に、韋駄天の様に速くて速くて、穴が崩れるスピードよりも断然速かった。さすが天哉くん!速くてカッコイイ!
「行っけぇ!!」
「あっ、まずい!!」
「へ!?」
出久くんがそう言った瞬間、大きな大きな落とし穴で天哉くんの前の道が沈んでしまったところがモニターに映った。
「あぁっ!!」
でも、天哉くんは冷静に対処していて、ましらおくんを吹っ飛ばしてゴールに向かわせていた。足のエンジンで!ぐるぐる回って!
「天哉くん凄い!!」
ましらおくんも途中で先生の妨害を受けつつも、尻尾でバシッと攻撃してそして、ゲートを潜った!
「やったぁ!!2人とも凄いよ!!」
「うん!飯田くんの咄嗟の起点が凄かった!」
あの時の天哉くんとは全然違う。ずっと大人で、ずっとヒーローに見える。
「天哉くん、カッコイイ!」
土に埋まってるところは…ちょっぴりカッコ悪いけどね。