第16章 合理的はなまる
Side相澤消太
「さて、残るは…」
期末試験の組の采配。
最後に残ったのは、【安藤ひよこ】。
まぁ、そうだろうなとは思った。
個性は使えない。
でも、他の奴らとは同じ扱いにしなければいけない。
それに、こないだのヒーロー殺しの件。
「またサポートアイテムを使わせて個性という穴を埋める?」
「いえ。」
それじゃあ安藤のためにはならない。
「他の奴らの影響……特に緑谷からの影響のせいだと思われますが、安藤は自覚が足りないんです。自分が守られる側だと。」
この間のヒーロー殺しの件。
あいつはヒーロー殺しの前に躍り出たのだ。なんの方法もない癖に。
飯田を守るためとはいえ、それは不合理すぎる。リスクの方が圧倒的に勝る。
誰かを守るために何も考えずに敵の前に出てしまうところ。
そこを直させなければ今回の期末試験に意味は無い。
「そうだね。タダでさえ今は敵が活発だ。安藤さんには守られるものとしての自覚を持ってもらわないと本当に危ないね。」
「あの子の個性が敵に渡ってしまったらと思うと……うん。とんでもなく危険だ。」
逃げ、助けを呼ぶ。それがアイツのやるべき事だ。
戦って勝つ事じゃない。
だから、安藤が今回すべきことは、
「安藤は、逃げの一手で行かせます。」