第2章 プライド×劣等感
見事高校に合格した私は、学校で初めて、勝己くん、出久くんの合格をきいた。
自分のことのように嬉しかったと同時に、なんだか、置いて行かれたような、そんな寂しい気持ちになった。
なんて勝手なんだ、なんて卒業証書を抱いて突っ立っていた。
そんな静寂を打ち破るのは、やっぱり彼で。
彼は特別なんだな、ってなんとなく思いながら静かに振り返った。
「ひよこちゃん!合格おめでとう!それと、入試の時、応援してくれてありがとう。お守り、ちゃんと持ってるよ。」
卒業式の日、久しぶりに出久くんと話すことができた。
嬉しいけれど、少しだけ心がざわついて。
「出久くん…!……おめでとう。」
なんだかちがう出久くんにちょっとだけ戸惑った。
「……。なんか変わったね。」
「えっ!?そ、そう?」
少しだけ嬉しそうな、たくましい笑顔だ。
私の知ってたのと違うような、変わらないような。
「うーん、なんだか、逞しいね……。雰囲気ちがう。」
「あっ、えっと、変?」
「ううん!かっ、カッコよくなったよ?」
「ふぉおおお」
かっこいい。
たくましい。
でも、なんだろう。
なんだか変な気持ちが芽生えて、苦しくなって、
卒業証書がクシャりと歪んだ。
そんな気持ちにそっぽをむいて、なんとなく、勝己くんに声をかけた。
「勝己くん、おめでとう。」
「あぁ?」
なんで声掛けたかなって一瞬で後悔したけど。
「え、えぇ、っと……小学校の時から一緒で、ご近所さんなんだから、一言、言わなきゃダメかなぁって。」
「うるっせんだよ。義務か!」
「あう……えっと、高校、頑張って!怪我しないでね。」
「てめぇにいわれんでもわかっとるわ。クソたまごが。」
「……高校生ですし、たまごっていい加減、やめて頂けませんか……?」
「まぁ、底辺でせいぜいやれや。」
「がん無視!?底辺って言わないでよ……。」
「はっ!」
勇気を出して勝己くんにもおめでとう言ってみたけど、なんか、バカにされた。