第14章 青くさい春。
「「「お邪魔しましたー!」」」
日が傾いて、外がオレンジ色になり始めた時、私達はももちゃんの家から解散になった。
「いや、俺今回のテスト行けるわ!」
「あんな豪邸…もう二度とお邪魔する機会ないんだろうな……。」
「えー!またヤオモモんち遊びにこさせてもらおーよ!!」
そんなことを言いながらみんなと駅まで歩く。夕日が綺麗で、景色は全部赤かった。隣を歩くみんなの横顔をみて、それから私は幸せな気持ちになって前を向く。
みんなと歩くのが楽しくて、嬉しい。
さっきまでグルグルまわっていたアノコトも、今は、この瞬間は忘れてしまっていた。
「じゃあおつかれー!」
「また学校でな!」
「勉強頑張ろうね!」
「ば、ばいばい!」
駅でみんなとも別れた。
もっと長くみんなといたかったなぁとちょっぴりおセンチな気持ちになる。
いかんいかん。こんなふうにぼーっとしていたら日が暮れちゃう。そう思って足を動かそうとした時、
「ねぇ耳郎安藤!!女子だけでもうちょっと遊ぼう!」
「ウチは別にいいけどあんど」
「えっ…いいの……!?」
『女子だけで』……。今まで女の子の友達が居なかった私にとってそれは憧れの言葉だった。
「…うん、めっちゃ行きたそうなのは伝わってきた。」
「よーしじゃあ行こー!!」
そして、私ははじめて友達と夜ご飯を食べることになった。
おばさんに連絡すると、ものすごい速さでOK!と返ってきた。