第14章 青くさい春。
その一週間は、ただ悶々と過ごした。
鋭児郎くんと話さないといけない用事も無かったし、いつも通りにしていたら普通に日々は過ぎていった。
普通にしていたはずだった。でも、なんでかわからないけど、寂しかった。
そして、今日はなんとももちゃんの家に遊びに行く………違う違う。みんなで勉強しに行く日だ。
ずっと楽しみにしていたのに、昨日まですっかり忘れていた。
もやもやをとっぱらってしまおう!きっと今日は楽しいし、たくさん勉強できるぞ!今日はえい……彼も居ない……から。も、悶々としなくてすむぞ!
そう自分に言い聞かせた。
みんなでももちゃんに教えて貰った住所に行くとそこには見たこともないくらい大きな家があって……。
ただ、愕然として門の前に立ち尽くした。
「うひゃあ……セレブだとは思ってたけど……」
「す、凄い…。こんな…。私の家が軽く100個はいるよ……!」
「言うな言うな!切なくなるから!」
ピンポーンとインターフォンを押せば、押した直後に門が開いた。
門て…門て!!!
案内されて入っていった勉強する場所はというと
「これまた……!」
そりゃもう、広いのなんの。広いだけじゃない。ものすごーく気品に溢れてて……こんな所に私のような庶民がいてもいいのか!?
「私の部屋が、いちにい……」
「やめとけ、数えんな!あとキョロキョロすんな!お上りさんみたいだぞ」
「なんか、場違い過ぎて緊張してきた…。」
「おれも……。」
思うところはいろいろとあるけれど……
「?なにか?」
凄く張り切っているももちゃんに、野暮なことはいえなかった。