第12章 友達と、友達のその先
その日のヒーロー基礎学では、出久くんが凄い成長を見せていた。
確かにあの時…助けてくれた時、なんか光が飛んできたように見えたけど、あれはああやって、壁をトントンって飛んできたのかな。凄い……。
その様子を見ているとき、隣にいる勝己くんの機嫌が悪くなっていくのをなんとなく感じた。ちょっと怖かった。
……焦ってるのかな……。勝己くんは、充分強いのに。焦ることなんてないのに。
そして、私はというと、皆の前で初めてコスチュームを着たのだ!
「おー、ひよこちゃん似合っとるね!かわいー!ゆるふわだー!」
「ほんと、てるてる坊主みたいで可愛いわ」
「よく似合ってますわ。可愛らしい!」
「いいじゃん!可愛い!!」
「へぇ、可愛いじゃん。」
「ゆるふわ安藤だー!かーわいー!」
「え、えへへぇ」
「安藤くん!ちゃんと見るのは初めてだな!似合ってるぞ!」
「お、安藤のコスチューム、普通だとこんな色なのか。あんとき血着いてたからか。」
「ひよこちゃん!やっぱよく似合ってるよ!」
「おぉ!安藤のコスチューム初めて見るな!
似合ってるぜ!」
「はっ!てるてる坊主。」
「安藤……。意外な伏兵が現れたな…。」
「で、でへへぇ……」
(一部除く)皆に似合うって言ってもらったのだ!
ぜんっぜん褒められることのない私にとって、それは私が有頂天になるためには充分すぎる材料だった。