第11章 〈番外編〉長い夜
チックタックチックタック
「眠れるわけないよ!!」
なんだこの最悪の土壺は…!!
羊を数えようとしても、違う奴が柵を飛び越えていくし!他になにか考え事をしようとしても、なんか宇宙の起源まで考えが行き着いちゃって不安煽られるし!!
なんなんだ!違うやつが柵を飛び越えるって!!なんでそんなに想像力無駄に逞しいんだ!!
ぼふんっと枕を投げてみたものの、ちょっと埃が舞っただけ。なんの解決もしていない。
ピコーン
そんなありきたりな音が頭の中で鳴る。いい考えが思いついた時って、本当にピコーンっていうんだ……。
確か、出久くん達が居る病室は、最大4人収容可能。で、一個のベッドは余っている……。3人がいたら、幽霊なんて怖くはない。
朝、誰にもバレなければ、どこに寝てても文句は言われないはず……。
「…へ、へっへっへっへ」
……いや、まてまて、そんなこと無理だ!
なんてことしようとしてるんだ私!今の笑い声私!?怖っ!!自分怖っ!
早く寝なきゃ……。
10分後……。
「やっぱり……眠れない……。」
時間が経つにつれて、やはりあの作戦が現実味を帯びてきた。
ちゃんと寝たい…。10分がこんなに長いんだ。一晩なんて、耐えられるわけ……。
そして、私は布団を被ったまま、この作戦を実行に移したのだった。