第10章 正しき社会、幸せな社会
「ふつうそんなに考えねぇって!大丈夫!俺は安藤の言ってる、悲しませたくないって気持ち、すげぇ分かるよ。てか、クラス連中はみんな同意してくれると思うぜ」
電気くんは真っ直ぐ私の目を見ながら話してくれる。目を見れば、彼は本当にそう思っているということがわかる。彼はいっつも正直で真っ直ぐだ。
「なら、安藤はそうやって頑張ればいい。だって、ヒーロー殺しのやり方はやっぱ間違ってるよ。殺しちゃう、なんてさ。ほら!俺らヒーローになるんだろ!一生懸命やればいいんだって!個性、なんてものがあるんだから、大切なものだって守れるだろ?俺らは俺らのやり方で、いい社会を創るんだよ!!」
「!」
「だから、お前は間違ってないよ!」
彼は多分、あまり考えずに言葉をくれた。
その脳天気な声のおかげなのか、彼のその言葉は、私の狭くなった視野を明るく、暖かく、照らしてくれた。
「そ、そっかぁ!!」
「やっべぇ、俺超今いい事言ったー!」
「ありがとう!ありがとう電気くん!」
「おぉ、こんなふうに言葉に出して感謝されんの久しぶりだわー!愛いやつ愛いやつ!」
「うわわっ!」
頭をワシワシガシガシ撫でられた。ちょっと痛かった。
電気くんは、なんて優しい人なんだろう!なんてカッコイイ人なんだろう!
私たちのやり方で、やればいいんだ。
最近、みんなといると、ヒーローになりたいという気持ちが零れてきてしまうんだ。