第9章 英雄の後ろ姿
「まっ、まって!て、天哉くんも東京、だったよね。確か、ほす市…私のところ、すぐ近くなんだよ…!」
「へぇ、そうなんや!」
「新幹線一緒かな?」
「そうみたいだな。」
駆け足で辛うじてついていけるくらいの速さに必死についていきながら声をかける。
天哉くんは、あの日から日に日に苦しそうになっていく。そんな姿見たくなくて沢山声を掛けたけど、なぜかこっちも辛くなって、全然うまくいかなかった。
「飯田君、本当にどうしようもなくなったら言ってね。」
「うんうん。」
「友達だろ?」
「あぁ。」
嘘だ。と何故か直感的に思った。天哉くんは、一人でなんとかしようとしている。目を見てなんとなくそれを感じ取る。
「ひよこちゃん……!あと、よろしく……ね!」
「う、うん。」
と小声で出久くんがいう。なんとか察して頷いた。出久くんから聞いた。天哉くんのお兄さんがヒーロー殺しステインに襲われたらしい。もう、復帰は絶望的だとか。