第2章 プライド×劣等感
そして手を掴もうとした瞬間だった。
勝己くんが私の耳に口を近づけて、囁く。
「でもお前、デクのこと好きだろ。」
「へっ…?なっなんで、なんでしってっわわっわーー!」
どっぼーーーん!
本日2回目だった。
バランスを崩して後ろへ倒れ込む。
ごめんコイくーん!!あー!ノートはなんとか無事だ!
……そんなのは問題じゃない!なんで勝己くんは知ってるんだ!
確かに私は…ずっと出久くんが好きだ。
けど、今まで誰にも言ってない…はずだ。
それなのに、どうして?
水に浸かったまま、勝己くんをじーっと見る。
なんの反応もないし、表情も見えない。
「かつきー?かえんぞー!」
「あいついきなりどこ行った?」
勝己くんの友達が呼んでいるのが聞こえた。
「じゃあな、くそたまご。」
「捨て台詞……。ってえぇ!?助けてよぉ!!」
訳分からないまんま、私はまたため池に置いていかれた。