第8章 〈番外編〉ヒヨコをプロデュース
「安藤は、大切な友達です。」
「そっか、なんか……泣けてきちゃうな。小さい時からずっとこの商店街にお買い物しにきてくれててね……。あのこ、小学校とか中学校のとき、色々大変だったのよ。……最近、学校のこと、楽しそうに話してくれるようになって。そっか、高校でちゃんとやってるんだね。」
「はい!あいつは凄いです!」
「そっか、おじさんも誇らしいなぁ。あの子、危ういからさ、ちゃんとみてやってね。」
「うすっ!」
「……本当にいい友達が出来たんだねぇ。」
おじさんは、涙ぐんでいた。
あぁ、この人は、本当に安藤が大切なんだな。それだけ愛される安藤って一体何者だよ。
「でさ、ひよこちゃん、出久くんが好きなんでしょ?」
「あっ……あぁ。はい、そうっぽいっすね。」
突然、おじさんが真剣な顔をして言った。
まぁ、見てれば分かる。多分、みんな分かってる…。緑谷と話す時だけ顔真っ赤だし、あれで分かんない方が不思議だろ。
「あのこ、上手くやってる?商店街一同応援してんだよ!どう?学校で!」
「うーん……。」
「鋭児郎くん?なんの話?」
「うぉお!」
品を見終えた安藤が、いきなり後ろから話しかてきてビクッとした。
「な、何でも!ほ、ほら!早く買えよ!」
「うん!これくださいな!」
「あいよ!」
「ありがとう!」
「うん、まいどー!」
「バイバイ!」
安藤、素はこんな感じなのか。この商店街を利用しているのか。知らなかった安藤のことがだんだんと分かっていく。