第7章 敗けて勝ってその後で
「なんで……そういうこと言うの!?」
私の涙腺のダムが決壊した音だった。私のダムは、よく決壊する。
彼の胸ぐらをつかむ。彼の方が圧倒的に背が高くて見上げる形になったけど。
「!?なっ、」
「私だって!!頑張ってるんだ!!これでもっ!!頑張ったんだよ!!」
私が大きな声を出したから人が集まってきた。
そんなことお構いなしに涙はとめどなく溢れる。
「えーなになに?」
「あの子、女の子泣かせてる……。」
「あの子、二回戦突破した子じゃない?」
「あぁ普通科の!」
「お、おい、やめろよ……!」
「ちゃんとここにいられるようにがんばったよ!!でもダメだった!!どうすればいいの!?じゃあどうすればよかったの!!?わかんない、わかんないよ!!」
「……!!」
目からはまだまだ涙が溢れ出る。
行き場のない感情を彼にぶつけた。
頭の中ではわかっている。どうすれば良かったのか、なんて。
何をしても無駄なものは無駄なのだ。この短い期間に、才能の塊達に追いつこうだなんて。
頭ではわかっていても、それを認めたくなくて、諦めたくなくて、今の私はその気持ちを彼に乱暴にぶつけることしかできなかった。
「おい安藤!安藤、ひよこ!!」
「なんだよ!!」
何かを決意したように彼は私に声をかける。
そう答えると私はいきなり眠気に襲われ、意識を失った。