第1章 太宰治の恋人
【お腹がすいた話】
パソコンで国木田さんに提出する事件のデータをまとめていると、隣のデスクの彼が、
「うう~ん。」と、うめいた。
紅葉「どうしたんです、太宰さん。」
太宰「お腹が減ったのだよー、紅葉ちゃん。」
紅葉「じゃあ、何処かへ食べに行きましょうか。」
太宰「…嫌だ」
紅葉「へ?」
太宰「君の作ったご飯がいい」
紅葉「いや、此処会社ですよ、一応。それに今から作ったら遅くなっちゃいますし…。」
太宰「ムウ。仕方ないかあ~。」
_________________________
~喫茶「うずまき」~
店員「おまたせしましたぁ。ごゆっくりぃ~。」
太宰「…。」
紅葉「あの、太宰、さん?食べないんですか?」
太宰「…。」
紅葉「あのぉ…」
太宰「何処まで鈍いんだ君はぁっ!!」
太宰さんが大きな瞳をうるうるさせる。
紅葉「へ?」
太宰「『へ?』じゃないよぉ。あーん、してってこと!!」
紅葉「?!!」
太宰「だって君の手料理がまんしたんだよ?ほら、あーん。」
紅葉「う、うむむ…。あ、あーん」
ちゅ。
紅葉「だ、太宰さぁぁん?!!!」
い、今。確実に頬にキスされた…。
太宰「ふふ。君が鈍感すぎるのがいけないのだよーー。」
紅葉「も、もぉ~っ!!」
__今日も太宰さんに振り回されるばかりです。