【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第4章 roasting
笑い続ける信長様に教えて下さい、と乞う。
焦らすように本人に聞け、と言われるも、気になって仕方がなくてむす、と頬を膨らます。
「そう怒るな、折角めかし込んだ顔が台無しだぞ」
「なら、教えて下さい!」
「ふん、まぁ良い…
簪は着飾る為に使うが、その鋭い切っ先は武器にもなる」
家康に、切っ先で奥山様の手を刺してやれ、と言われた事を思い出し…
そういう使い方もあるのかな、とぼんやり思う。
こんなに綺麗な物を、そんな風に使わなければいけない世の中なんて、哀しい――
「だから、簪を贈ると言う事は即ち…
常に傍にあり、貴様を護りたいという気持ちを表す物よ」
ぶわり、と顔に熱が集まってきたのが自分でもわかった。
本当にそんな意味を込めてくれたのだろうか?
でも、先刻も、家康は私を護るように、あの場から連れ出してくれた。
その腕の温かさを、強さを思い出すと、今でも包まれているような、不思議な安堵が広がっていく。
「俺は、いつ何時この身朽ちても良い気概で生きている。
しかし、簡単にはそうはならぬ様、常に万全を尽くしている。
家臣や仲間に気を配り、礼を尽くし、強い頭領であれと。
貴様にその簪を贈った主も、同様であろうな」