【黒子のバスケ】カラフルの中で~限りある時を共に~
第2章 最悪な出会い
正直、母を親と感じたことはなかった。
女優としてどんなに素晴らしい人間だったとしても
母親では無かったから・・
幼い頃から翔と二人広すぎる一軒家で母親の帰りを待つ日々の中、家事全般を任されたメイドさんだけが
私達に優しくしてくれた。
だからなのか、翔は私に妙にベッタリだし私自身翔が可愛いという気持ちが先立ち、周りから見ると仲が良すぎる姉弟だと思う。
ただ、最近心配な事がある、中学から始めたバスケの影響で、翔が【黒子のバスケ】という漫画にハマってしまってからと言うもの、部屋一つが図書館か、と言わせる程本で埋め尽くされてしまったのだ。
『流石にこれは何とかしないとね・・』
翔の支度を待つ間に、書斎と言う名の本棚に埋め尽くされた部屋の前で、頭に手をやり考えていた時だった。
''ドガンッ''
と激しい音が2階から響いてきたのだ、2階には翔の部屋と私の部屋以外は今は空き部屋の筈だ、こんな音を出すのは翔だけだが、それにしては音が大きすぎる。
『・・ッハァァッ!!?』
2階の廊下を走る音と扉を開いた後、聞こえてきた叫び声を上げる翔の声に異常を感じ慌てて2階への階段をかけ上がった。
『翔!何があったの!?』
『なっ・・って、否・・ええっ!?』