【黒子のバスケ】カラフルの中で~限りある時を共に~
第2章 最悪な出会い
長い長い舞台の公演が終わり、久しぶりの休日。
まさか、こんな事態に巻き込まれようとは
何たる不運・・否、悪夢であって欲しかったー・・。
昼下りのリビング、弟の翔は御気に入りの漫画を読みながら一人ニヤニヤしている。
バスケ部で活躍しているのは知っているけれど、一度も試合を観戦した事はなく、翔のプレイを見る機会がないけれど、雑誌の取材を受けた事を嬉しそうに話してきた事をつい最近の事のように覚えている。
『本当に好きだね、そのバスケ漫画』
『黒バス最高だもん、姉ちゃんも1度でいいから読んでみなよ、この黄瀬君なんて本当に格好いいし惚れるよ?』
『漫画の登場人物に惚れてもねぇ』
『姉ちゃんは男に興味無さすぎだって、折角モテるのにさ~』
『悪かったね、ああ私ちょっと買い出しに行くけど何か欲しい物ある?』
『一緒に行く!つーか一人で荷物持てないだろ!』
『そんなに柔じゃないよ』
『嘘つけ!また舞台の出っぱなしで体重落ちたの知ってるんだからな、きちんと食べなきゃ駄目だろ』
心配しすぎだと思わず溜息をついても、翔はこんな時ばかり頑なに頑固だ、いったい誰に似たのやら・・
私達はシングルマザーである母に女手一つで育てられた。
母は子を身籠る以前から誰もが知る大女優で、映画、CM、ドラマ、舞台と有りとあらゆるオファーにより、年に数日しか休みのない多忙な日々が祟ったのか、
5年前に他界した。