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【YOI男主】大切な人【男主&勇利】

第1章 波乱の幕開け?


「アイツも俺から言わせればまだまだで、選手に対する気遣いが不足してたり、婉曲的に嫌味を言ってくる事もあるけど、まあまあやってるとは思うよ?」
「気遣いに関しては、ジジイよりサユリの方が断然上だな」
「彼は頭の回転も早いし、結構頑張っている方じゃないか?カツキと同期だったのだろう?」
ギオルギーに問われて、勇利は純が自分と全く同い歳なのを思い出す。
「ついこの前引退したばかりのアイツに、求めてるもの多すぎない?アイツは俺じゃないんだから、勇利に対して接し方が違うのも当たり前だよ」
「…」
「見えてるようで、お互いが見えてなかったみたいだね」
重ねられたヴィクトルの発言に勇利は小さく頷くと、純にリンクでの事を謝ろうとスマホを取り出したが、既にそこには、当の純からメッセージが届いていた。

ゆっくりと2本目のビールを味わいながら、酒の酔いとは別な脳裏でひとしきり今日の事を反省した純は、スマホを操作する。
「勇利は、厳しいシーズンを戦う現役の選手や。その選手を不安や不快にさせる真似はアカン。明日ちゃんと面と向かって謝らんと…」
勇利へメッセージを送った純は、会計を済ませると店を出た。
「タクシー…でも、部屋まで歩いて10分足らずやし、酔い覚ましにちょうどええか」
配車も考えた純だったが、結局滞在先のアパルトメントまで徒歩で帰る事に決めると、酒の所為かいつもより緩慢な足取りで歩き始める。
するとそんな純の背後を、同じ店から出てきた複数の人影がつけていた。

『今日は勇利の気持ちも考えんと、僕の都合ばっか押し付けて、ホンマにゴメン。また明日リンクで会おうな』
純の気遣いに口元を綻ばせた勇利は、「僕の方こそゴメン。また明日会おうね」と返事を打った。
「アイツ、今頃独り寂しくご飯かな?」
するとその時、偶然別のテーブルで食事をしていたリンクメイト達から、純が裏通りにあるバーに行くのを見たと聞かされた。
「裏通りだって?あそこは昼間はともかく夜は時折良くない連中がうろついてると聞くぞ」
「でも、サユリならそこら辺判ってるんじゃねえの?」
「いつもの彼ならな」
続けられたギオルギーの言葉に、勇利達の間に一抹の不安と緊張が走った。
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